優先順位を見直して実現した、「暮らしを愉しむ」ライフスタイル。
「koto -good things in life.-」店主 稲葉 剛さん
- プロフィール
栃木県出身
大学卒業後、東京の大手ゲームソフトメーカーなどでゲーム開発に従事
家族と「暮らしを愉しむ生活をしたい」と2021年、倉敷市児島にIターン移住
移住のテーマでもある「暮らしを愉しむ」がコンセプトのカフェ&雑貨店の経営や、子ども向けアートイベントを企画・開催
家族構成は、妻と子ども3人(移住当時7歳と4歳と2歳)
- 移住先
倉敷市
優先順位を見直したら…
東京での生活は友人に恵まれ仕事も楽しく充実していました。
でも、子育てが始まると、人が多くて移動も一苦労、子連れで遊びに行ける場所は限られるし…と都会で暮らすメリットを感じにくくなったんです。
改めて自分の中の優先順位を整理してみたら、「家族と楽しく暮らすこと」が1番大事だと気付き、妻と相談して移住を決め、妻の実家に近くて気候もいいということで岡山県が候補に挙がりました。
視察を兼ねて何度か岡山県を訪れる中で、有名な美術館などがあり、文化やアートを身近に感じられる倉敷市が気に入りました。
僕自身、田舎の出身なので、都会すぎず田舎すぎない「暮らしやすいまち」がよかったので、自然がありながらほどよく便利な児島地区がちょうどよかったんです。
広がる友達の輪
長男が小学校に入学するタイミングで移住したかったのですが、コロナ禍や仕事の都合で1年ずれ込み、小学2年生から転入することに。
そういう意味では長男が一番つらかったかもしれないですね。
移住してから知ったのですが、岡山県の小学校には制服があるところが多くて、しかもマスクをしているとみんな同じに見えて同級生の顔がなかなか覚えられなかったり、慣れない方言にも苦労したりしたみたいです。
ただ、近所に同級生もいたし、子ども会を通して地域のお祭りなどの行事に参加できたことで、一緒に遊ぶ友達も増えて、すぐになじめたようです。
東京の友達ともオンラインで交流が続いていて、今の時代、遠く離れてもつながりが完全に切れるわけじゃないんだなと感じています。
人との縁が紡いだお店
学生の頃から「自分のお店を持ちたい」と考えていたこともあり、せっかくなら自分がやってみたいことを仕事にしようと、移住のテーマでもあった「暮らしを愉しむ」をコンセプトにしたカフェ&雑貨店を開業しました。
取り扱う商品は、自分たちが実際に使って良かったものやおすすめしたい食品などが中心です。
そのほかスーパーには並ばない地元のたまご屋さんのたまごや、営業日が限られているお店の焼き菓子など、近隣エリアの生産者、作家さんから仕入れる商品は、お客さんから教えていただいて取り扱い始めたものが多いです。
コンセプトを持ってお店をしていると、そこに共感してくれるお客さんが訪れてくれるので、そういうご縁から自然といい商品とのつながりが生まれていると感じます。
さらに、移住後に仲良くなった方のご縁で、児島のジーンズミュージアムの中にカフェスペースをつくれたらという話を紹介していただき、とんとん拍子に2店舗目を構えることになりました。
アートで児島を盛り上げたい
大学で美術を学んだ経験を生かして、アートで児島を盛り上げたいと思い、児島の子どもたちに向けてモノづくりの場を生み出す団体「Kojima Kids Art :)」を立ち上げました。
児島は縫製業をはじめモノづくりが盛んなまちなので職人さんも多いんです。
親子でモノづくりをすることを通して、お父さんやお母さんの職人としての技術を子どもが目にする機会をつくることができたのが良かったですね。
イベントをきっかけに子どもたちが児島のモノづくり文化に触れて、地域のことをもっと知って愛着を持ってもらい、文化や技術が継承されていったらいいなと思います。
「子どものためのイベントをやります!」と提案すると、地域の皆さんがイベントの運営や、段ボールや木材など資材の提供に協力してくれるのでとてもありがたいです。
企画はできないけど子どものためなら手伝うよという人が周りにいて、私は企画したい方なので、そこがうまくかみ合った感じですね。
理想の暮らしを実現するために
私の場合は「家族との暮らしを愉しむ生活をしたい」というのが移住の目的だったので、自分や家族が気に入る土地を探し、次にそこで何を仕事にしようかと考え起業をするというステップを踏みました。
移住は「目的」ではなく、あくまで「手段」なので、移住という手段を使って「何を実現したいか」という目的を整理することが一番大切だと思います。
東京では「週末海に行くぞ!」と気合を入れて予定を立てていましたが、今は気軽に海や山などに遊びに行ったり、疲れたときに海に足をつけてリラックスしたり、自然がとても身近なものになりました。
また、知り合いの農家の方にお願いして、子どもたちに田植えや畑仕事など東京ではなかなかできない体験をさせてもらうなど、岡山での暮らしを家族で愉しんでいます。