岡山晴れの国ぐらし

移住者インタビュー

池田 将さん、悠生さん

子どもたちが誇りに思える地元をつくりたい!

映像制作、チーズケーキ屋「gajumaru(ガジュマル)」経営 池田 将さん、悠生さん

プロフィール

2人とも東京都出身
将さんは転勤族のため、福岡、兵庫、東京を転々とし、悠生さんは横浜で育ち、東京で多忙な生活を送っていたが、真庭市の先輩移住者との出会いから、2020年に真庭市へIターン移住し地域おこし協力隊に着任
現在、将さんは東京時代のスキルを生かした映像制作の仕事などを、また夫婦でチーズケーキ屋「gajumaru(ガジュマル)」を経営
家族構成は、将さん、悠生さん、子ども1人(移住時は夫婦のみ)、猫2匹

移住先

真庭市

自分のいる場所が子どものふるさとに

転勤族で、地元がどこなのかあまりイメージはありませんでしたが、友人に「自分のいる場所が子どものふるさとになる」と言われたことがあり、なんとなく子どものふるさとにするなら東京ではないだろうなと感じていました。
また、妻も映像関係の仕事をしていたのですが、昼夜逆転するような忙しさで、将来のことを話し合う時間もなかったので、まずは東京という渦から抜け出さないと何も変わらないのではと思いながらも、忙しすぎて言い出せませんでした。
そんな中、思い切って仕事関係の連絡をシャットダウンして妻と台湾へ旅行に行き、人々がゆったりと暮らす雰囲気に触れ、樹齢200年ぐらいのガジュマルの木があるゲストハウスに泊まったところ、久しぶりに熟睡することができて、これはすごいぞと感じました。
でも旅行から帰って携帯電話の電源を入れた途端、仕事関係の連絡が大量に届いて、妻がまたいつもの生活に戻るのかと涙を流しているのを見て、これはもう移住するしかないと決心しました。


キーパーソンに導かれて

私たちは直感で動くタイプなので、移住すると決めたらすぐに移住相談会などを調べ始めたのですが、私が制作した映画を見た画家の田中直子さんが「私の好きな真庭と風景が似ている」と言っていたのを思い出し、真庭市が出展する移住相談会に行きました。
そこで、家族との時間を大切にするために真庭へ移住された先輩移住者の松尾さんから、こんな面白い人がいるとか、真庭の魅力をたくさん教えてもらい、妻と行ってみようという話になりました。
訪問した際も松尾さんが案内してくれて、40名くらいのさまざまな業態の人と引き合わせてくれました。
妻もカフェの経営やデザイナーとして活躍されている女性の方を紹介してもらい、刺激を受けてどんどんモチベーションが上がったようでした。
また、地域おこし協力隊という働き方も教えてもらい、具体的な話を聞くために市役所を訪れた時に、部屋に大きな木の絵があって、それがたまたま私たちに真庭を紹介してくれた田中直子さんの作品で、何だかとてつもないご縁を感じてしまったので真庭への移住を決めました。
2泊3日という短い訪問でしたが、2人で一緒に真庭を体験できたこと、松尾さんというキーパーソンに出会えたことは、移住の大きな決め手になりましたね。

キーパーソンに導かれて

移住のきっかけをくれた田中直子さん(中央)


移住後に感じたカルチャーショック

私たちが住む勝山地区は、風景や町並みが美しく、すてきな図書館があって、元々文化的な香りのある町に住みたいと思っていたので、まさにイメージ通りでした。
カルチャーショックはたくさんあり、例えば、仕事が一つではない人が多いこと。プレイヤーが少ないから、地域の足りないところをみんなで支え合って、それが仕事になって増えていくんですね。
あと、2人とも仕事の関係でよく移動するし、保育園のこともあるので、車は1人1台ないと厳しくて。車を2台所有する生活は、東京に住んでいるときには絶対に考えられない選択だったのですごく驚きました。
また、銀行や郵便局で「あそこに住むのね」と気軽に話し掛けてくれたり、子ども園の保育士さんと友達になったりとか、東京と比べるとコミュニティが狭いですね。でも、いい距離感で接してくれて、何かあったときには声を掛けてくれるので、とても助かっています。

移住後に感じたカルチャーショック

チーズケーキ屋「gajumaru(ガジュマル)」誕生秘話

妻はイラストが得意なので、私の仕事を手伝ってもらったり、地域の仕事を引き受けたりしていましたが、何か自分の仕事をつくりたいと考えるようになりました。
パティシエの経験はなかったのですが、アイシングクッキーを作ったら、みんながかわいいと言ってくれたのがうれしかったようで。地域の方からもケーキ屋は需要があると言われ、相談した結果、チーズケーキに的を絞り、妻がデザインした猫のクッキーを乗せるアイデアを取り入れました。
開店に向けては、近所で子育てをしながらカレー屋さんを起業された同世代の夫婦の方が親身になってアドバイスをしてくれてとても助かりましたね。
3年くらいかけて修行してからと考えていましたが、やろうと思っているならできるよと背中を押してくれる人が多くて、とんとん拍子で話が進みました。
「gajumaru」という店名は、台湾での経験や、東京時代にお世話になった方からガジュマルの木をプレゼントしていただいたこと、あとはガジュマルのように根を張って幹を育てるような生き方がいいなと思い決めました。
目標は、勝山の銘菓といわれるような商品を作ることと、「チーズケーキといえば池田さんのところ」と呼ばれることですね。東京では会社名がまず出てきますが、こちらでは人の名前が出てくるようになったら一人前だよと地域の方に教えていただいたので。

チーズケーキ屋「gajumaru(ガジュマル)」誕生秘話

子どもたちに大人が楽しんでいる姿を見せ続けたい!

子どものためにも、まずは私たちが楽しく生活して、この世界は楽しいよと思わせ続けなければいけないよねと妻とよく話しています。
子どもは大学進学を機に地元を離れる可能性もありますが、私たちの生活はそれからも続くので、この場所でどう楽しく生きていくか、地域に貢献していくかが大事だと考えています。
地元から離れる時も、「こっちは楽しくやってるから、いってらっしゃい」と言えるぐらい楽しく生活できたらいいですね。
そんな大人の姿を見ていたら、いつか子どもも地元に戻ろうと思ってくれるんじゃないかなと思います。
真庭市は人口が4万2千人ほどの町だからこそ、地域と行政が一緒に頑張っているのが見えるし、自分たちで地域をつくっているという感覚があることに面白みを感じています。

子どもたちに大人が楽しんでいる姿を見せ続けたい!